熱力学の根幹をなす法則として、熱力学第0法則、第1法則、第2法則があります。
それぞれ簡単に説明します。
熱力学第0法則(熱平衡の法則)
温度の異なる物質を孤立系(箱のようなもの)に長い時間放置すると、系の温度が時間的に変化しない状態になる。この状態を熱平衡という。
図1 箱に入れられたコップの様子。熱の移動が起こり、時間がたつと同じ温度になる。
熱力学第1法則
熱はエネルギーの一種であることを説明する法則。この法則から、仕事、内部エネルギー、エンタルピーの関係などが導かれる。
図2 コップに入った水をマドラーでかき混ぜると温度が上昇する。外部から運動エネルギーを与えることで、熱エネルギーが生成された例。
熱力学第2法則
熱を仕事に変換する効率に関する法則。エンジンの効率など考えるのに必要で、工学的に非常に重要な法則。
図3 一定温度の水が持つ熱エネルギーを直接仕事として取り出す機関(第2種永久機関)は、第2法則の理論上不可能である。
まとめ
この3つの法則が熱力学の基礎となります。言い換えると、熱力学とはこの3つの法則を基に熱に関する諸量を計算する学問となります。
近年、人類が排出する熱は急増しており、多くの環境問題を引き起こしています。環境に対する負荷を小さくしていかにエネルギーを有効活用するか考えるため、熱力学は欠かせません。
以降では、それぞれの法則について詳しく見ていきます。
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