機械工学を学ぶ上で欠かせないのが材料力学という学問です。
材料力学とは何かを端的に言うと、
「強度、剛性、安定性を機械構造物に保証し、更に経済的にこれらを設計するための力学的方法を求める」学問です。
簡単に言うと、ある構造物に何か力が加わるときに、その構造物に加わる力を求め、そこから逆算し設計に役立てるための学問といってもいいと思います。
材料力学を学ぶ上で最も重要なのは、内力と外力を理解することです。
内力と外力
外力とは、いわゆる私たちが良く知っている「力」のことです。
例えば、箱を押すときに加える力であったり、その箱自体に加わっている重力が外力に相当します。
それに対して内力とは、その名の通り物体の内部に加わる仮想的な力です。
物体に外力が作用して変形するとき、それに対応して物体内部には力が発生します。
この内力が、部材の強度の評価に役立ちます。
材料力学では、内力を定めるために「切断法」と呼ぶ方法を用います。
切断法
例えば、以下の図のように、棒の端に上からPという力が加わっているとします。
この時、棒は静止しているので、力のつり合いより固定端(左端)に上向きの力R(=P)が生じます。
ここで、適当な場所で棒を切断し、右側と左側で別々に考えてみます。
すると、次の図のようになります。例えば右側は赤い矢印の力が加わっていますが、実際は棒は静止しているので、先ほどと同様に左側にも同じ力が反対方向に生じます。
左側の部材に関しても同様であるので、実は切断面に力が加わっていることがわかります。これが切断法です。
今回の例は非常に単純なので当然のように感じるかもしれませんが、
部材を「切る」という感覚は材料力学特有であり、これから問題を解くうえで非常に重要です。
ぜひこの感覚を覚えておいてください。
材料力学でできること
例えば、ある野球選手が頭でバットを折ってしまいました。
この選手は、一体どれ位の力を加えたのでしょうか。
こんな問題も、材料力学を用いると、バットの素材が分かれば簡単に計算できてしまいます。
逆に言えば、バットのメーカーの人が「簡単に折られないようにしたい」と考えたとすると(普通はこんなこと考えませんが)、
先程求めたこの選手のパワーから逆算して、バットの素材や長さ、断面形状(普通は円ですが)を変えることでより強いバットができます。これが設計そのものです。
材料力学とは、そのまま設計に使える学問なのです。
まとめ
今回は材料力学とは何か、また重要な点について簡単に書きました。
材料力学は他の4力に比べて比較的とっつきやすいと思うので、ぜひ教科書など読んでより詳しく見てみてください。
次回は引張、圧縮、せん断について書いていきたいと思います。
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